豊胸と乳がん検診
豊胸には大きく分けて2種類がありヒアルロン酸やシリコン・自分の脂肪などを注入する方法、シリコンバックなどのインプラントを乳腺下や大胸筋の下に挿入する方法があります。
仕上がりが本当にきれいで感心することも多々ありますが注意しなければならないことがあります。
それは 豊胸術後乳がんの病期(ステージ)は進行した状態で発見されるとの報告が多いことです。
豊胸後早期発見が遅れる理由
①挿入したバッグ破損のリスクが有る場合検査が受けられない事が多い
②検査を受けても注入された物質によって画像診断能が低下する
③本人が自己申告するのを避けるために受診が遅れてしまっている
ということが理由に挙げられるようです。
①検査が受けられない②画像診断能が低下する について
乳がん検診では超音波・マンモグラフィが一般的に行われています。
・乳がん検診の精度管理を行っている日本乳がん検診制度管理中央機構では豊胸術後の検診マンモグラフィの撮影を推奨しておらず、検診では原則お断りとなっています。実施する場合にはバッグ破損などのリスクや診断率が低下する旨を事前に伝え同意をえるようにとされています。ただし、症状がある場合のマンモグラフィについては禁忌ではありませんし マンモグラフィ装置にもインプラントモードというものがあり撮影もバックを避けるような方法がとられます。しかし圧迫によるバッグ破損のリスクはゼロではなく、昔と異なり現在主流のシリコンパックは内部の素材が固くながれにくいものとなり本人が気づかないうちに破損している場合もあります。そのようなリスクを踏まえたうえでのマンモグラフィ検査となります。
・超音波検査は注入術後もバック挿入術後も受けることができます。ただし注入される部位や素材によってはしこりのように見え病変との区別がつきにくく、逆に病変が埋もれてしまい診断率が落ちる可能性があります。
実際、筆者自身も超音波検査で病変と区別のつきにくい注入物がたくさん描出されたり、乳腺内に注入されてしまったため石灰化が無数にできてしまい、マンモグラフィでの病変が見づらくなってしまったりしている例を経験したことがあります。
・MRIであればどの手術でも受けることができ、かつ診断能は高くなります。ただし費用と時間がかかり、施設も限定されるために手軽ではありません。米国FDAではインプラント挿入後は破損などのチェックのため3年おきにMRI検査を推奨しています。(当院ではMRI検査は行っておらず専門施設へのご紹介となります。)
【まとめ】
乳がん検診については
インプラント挿入(生食パック シリコンパック)→超音波〇マンモグラフィ×の施設が多い MRI〇
注入術 →超音波〇マンモグラフィ〇 MRI〇
ただしすべての検査において画像診断率が低下する可能性(病変ができても見つけにくい可能性)がある。
ということになります。
ではどうすればよいか?
おすすめとしてはまず
・豊胸をおこなう前に検診をうけ、乳腺の状態や、もとからあるしこりを把握しておくこと。
・豊胸術後にも受けられる検診を定期的に受けることです。
そうすれば画像検査でしこりが見つかった時に元からあるものなのか(前回データのある同じ施設で検査をしてください)あとからできたものなのか、注入によるものなのか区別をつける一助となり見逃しを防ぎます。
豊胸を考えている方は ぜひ術前に一度乳がん検診をうけて自分の状態を把握しておき情報を残しておきましょう。
最後に③本人が自己申告するのを避けるために受診が遅れてしまっている についてですが
豊胸したと自己申告しづらいなどの心配は不要です。当院でも美容医療経験者だらけでだれも気にしません。美容皮膚科も併設しており豊富なメニューとベテラン美容スタッフが常駐しております。自己申告をためらうために受診が遅れることのないようにしましょう。
ぜひ術前に検診を受けてほしいと思います。ご予約はこちらから