適度な運動とは~女性のがんの予防・乳がんの再発予防の視点から~
近年、運動はがんの予防に有効なだけではなく、再発の予防にも有効であるということがわかっています。
日本人のためのがん予防法
国立がんセンターの提示したエビデンスに基づく日本人のがん全体の予防に有効な生活習慣は以下のようにされています。
・禁煙
・節度のある飲酒; 純エタノール23gまで(ワインならグラス2杯)
・食生活; 野菜 減塩 熱い飲食を回避 など(乳がん発症は大豆食品摂取もリスクを低くすることがわかっています)
・運動; 活動量が高いほどがんのリスクが低下(大腸がん、乳がん(特に閉経後)、癌全体)
・適正体重; BMI(体重kg/身長m2)値が女性の場合21.0~24.9 特に閉経後の肥満は乳がんのリスクとなります。
・感染を予防/治療する 肝炎ウイルス ピロリ菌 ヒトパピローマウイルスなど…日本人のがんの原因として女性で1番多いのは感染です。
以上のうち5つの習慣がある人は0~1つの習慣がある人に比べて女性では4割近くがんになるリスクが低くなると推定されています。
がんを全体を予防する運動量とは
上記のうちの「運動」で推奨されている運動量として
・「歩行以上の強度を毎日60分」に「息がはずみ汗をかく程度の運動を毎週60分」を追加(18-64歳)。
・65歳以上の方には「強度を問わない40分の身体活動」
が推奨されています。(厚生労働省「健康づくりのための運動指針2013」)
運動習慣と乳がんの発症に関しては
「閉経後の女性では 定期的な運動が発症リスクを低下させることがほぼ確実」
「閉経前の女性では 高強度の運動(エアロビクス、サイクリング、水泳、テニス、ランニング等)で発症リスクが低くなる可能性がある」
とされています。
乳がんの再発予防のための運動習慣
乳がん経験者の方のうち運動習慣のある方の再発リスクは運動習慣のない方と比較して低くなる事がわかっています。これまでの報告では定期的な運動習慣によりもたらされる効果として以下のような結果がわかっています。
・週に1回30分のウォーキングで25%再発リスクが低下
・病気を原因とするすべての死亡リスクが40%低下
・乳がんによる死亡リスクが35%低下
具体的に再発予防に有効な運動量は以下のように設定されています。
・「週150分以上または毎日20分の
軽く汗ばむくらいの歩行」または「週75分以上のランニング」
・有酸素運動に筋トレの併用; 筋トレは週1回でも効果に大きな差があると報告されています。
運動習慣が乳がん経験者の方に及ぼすそのほかの影響
運動習慣は乳がんの再発リスクの低下のみならず以下のような効果も報告されています。
・持久力の改善
・関節痛(ホルモン療法の副作用による)の改善
・精神面での改善
・筋肉量の増加
(患者さんのための乳癌診療ガイドライン2019版 日本乳癌学会)
以上のように乳がんの発症・予防に運動は有効です。運動習慣がない場合、何をはじめればよいわからないこともありますが、まずは日常の歩数を増やすなど簡単なことから始めましょう。昨今はアプリや動画、オンラインレッスンなど以前より都合に合わせていろいろなエクササイズが提供されるようになっています。ご自身のライフスタイルや嗜好に合った、無理なく楽しく続けられる運動をみつけましょう。
術後、どれくらい動かしていいかわからない、怖いというお声も耳にすることがあります。無理のないご自身でコントロールできる強度の運動の導入として当院では長いゴムを使用したループエクササイズやヨガをおすすめしており乳がん術後のエクササイズの経験豊富なインストラクターご紹介などもさせていただいております(オンラインやサロンでのレッスン)。
当院でもイベントを開催することがあります。ご興味のある方はご参加下さい。
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