ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて~オーストラリアでは近い将来 子宮頸がんは撲滅される?~
2023.04.10
2023年4月より9価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン【シルガード】が公費で受けられるようになりました。
これまで公費で適用されていたものと何が違うのでしょうか?また、効果のほどはどうなのがご説明したいと思います。
性交渉経験のある女性の50~80%はHPVに感染していると考えられておりとてもありふれたウイルスです。多くは免疫力により排除されますが一部が排除されずにずっと体内に残ってしまいます。この残ったウイルスが長い時間をかけて癌に進行していきます。最初は異形成という異常な細胞を作り、異形成がすすむと(高度異形成)子宮頸がんになる可能性が高くなります。
このウイルスの感染を防ごうとするものがHPVワクチンです。
日本では、HPVワクチンは2010年から公費で受けられる定期接種になり、接種率は70%以上でしたが、複数の副反応の報告や過熱した報道により危険なワクチンという誤った認識が広がってしまい、それを受けて厚労省が2013年6月に積極的なワクチン接種のすすめを中止しました。その結果 接種率は1%以下に落ちてしまいました。そのため今後子宮頸がんの増加が心配されています。
それではすでに接種のすすんでいる国ではどうなのでしょうか。
オーストラリアはもっともHPVワクチン接種のすすんでいる国の一つです。オーストラリアでは政府が積極的に推進し2007年から12〜13歳の女子にHPVワクチン接種が開始、
2013年からは男女ともに定期接種となり、さらに2018年から子宮頸がんの原因となるHPV型の約90%をカバーする9価ワクチン へと変更されています。
その結果
2028年までには、子宮頸がんが10万人に4例未満まで減少し(日本では10万人に16.8例と報告されています(2019年))、さらに2066年には
10万人に1例未満となり、先進国の中でも子宮頸がんを撲滅する最初の国になると予測されています。
一般に10万人に対して4人未満の癌は希少がんとされるので 近い将来希少がんになるのです。
日本では年間1万人が子宮頸がんにかかり約3000人が死亡しています。患者数も死亡数も増加傾向にありG7の中ではワースト1位です。
日本の国内の研究でもこれまでワクチンを接種した女性の中でHPVに感染している割合が減少し、癌へ進行していく割合が大きく低下していることがわかっています。
このような事を受け、ついに日本でも子宮頸がんの原因となるウイルスの9割をカバーする【シルガード9】公費での接種ができるようになりました。
これまで公費で適用だったものはガーダシル サーバリクス はそれぞれ2価、4価であり2種類、4種類のウイルスがカバーされていたものですがシルガードは9種類のウイルスをカバーしています。
ぜひこの機会に将来のご自身・お子さんの健康を守ることを考えてみてください。HPVワクチンはがんを予防する強力な味方なのです。
<HPVワクチン定期接種の対象者>
①小学校6年生から高校1年生の女性(標準的な接種時期は中学1年生)
②キャッチアップ接種対象者:平成9年4月2日~平成19年4月1日生まれの女性
初回接種時の年齢が15歳未満の場合、1回目の接種後6か月後に追加接種 (2回接種)
初回接種時の年齢が15歳以上の場合、1回目接種後2か月と6か月後に追加接種(3回接種)
対象者は無料(公費助成)でHPVワクチンを接種することができます。
①小学校6年生から高校1年生の女性(標準的な接種時期は中学1年生)
②キャッチアップ接種対象者:平成9年4月2日~平成19年4月1日生まれの女性
初回接種時の年齢が15歳未満の場合、1回目の接種後6か月後に追加接種 (2回接種)
初回接種時の年齢が15歳以上の場合、1回目接種後2か月と6か月後に追加接種(3回接種)
対象者は無料(公費助成)でHPVワクチンを接種することができます。
対象ではない方は自費になりますが接種可能です。
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