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術後のリンパ浮腫とケアについて

2024.06.29

 

〇リンパ浮腫とは?

私たちの体の約60〜70%が水で出来ており、血管(動 脈・静脈)やリンパ管により、身体中に循環しています。 この体液の循環がさまざまな原因で溜まってしまうこと で腫れやむくみを引き起こします。むくみを発症する原因の一つとして、リンパ浮腫があり、婦人科系の手術や乳がんの手術・外傷でリンパ節を切除したことにより発症するものを続発性(二次性)リンパ浮腫といいます。

 

〇まずは早期発見を

リンパ節郭清後には一時的な浮腫が生じることもありますが通常、術後9か月までに消失することが分かっています。9か月たっても残っている浮腫は慢性的な経過をたどることが多く、むくみが大きく目立つようになってから受診するよりも、できるだけ早く見つけて、治療・ケアを始めることでより良い結果を得られる可能性が高くなります。放置すればするほど線維化や脂肪の肥大化がおこり状態を戻すことが難しくなります。

早期発見のためにに毎日ご自身で観察を行いましょう。 できれば術前からお風呂上りに次に挙げるようなセルフチェックしてみましょう。

セルフチェック

☑手足の太さ…左右差・腫れがないか

☑関節の皮膚のしわ…左右差・前より深いしわがないか

☑皮膚の色…色が白っぽく、色の変化が乏しくないか

☑痛み…腫れている部分の痛みは無いが手や足のの甲に痛みがないか

☑皮膚の厚さ…少しずつ皮膚が分厚く、硬くなってきていないか

☑シュテンマーサイン…手や足の指の背の皮膚をつまみ上げた時に、 皮膚がつまみ上げられないサインはないか

☑違和感…重さ・だるさを感じないか

☑手の動き(上肢の場合)…握るときの違和感や握りにくさはないか

 

上記のような症状があり浮腫が疑われる場合は早めに主治医に相談をし浮腫の評価をおこないましょう。

 

定期的に左右のサイズを記録して経過を見ることにより早期発見につなげることもできます。以下の項目を計測しましょう。

・足/手のひら

・足/手首

・膝/肘下5㎝

・膝/肘上10cm

・大腿/腕の付け根

・体重

 

〇治療について

むくみの治療は体重管理・圧迫した状態での運動・圧迫療法・スキンケアとなります。

・圧迫療法

圧迫療法は弾性ストッキング・スリーブや弾性包帯を用いて手足を周囲から圧迫し、静脈やリンパ管のうっ滞を予防・減少させ、静脈やリンパ還流を促進させる治療方法です。

 

弾性着衣は複数の糸をより合わせて編み上げられており通常、足首や手首100%の圧迫がかかり、上に行くにつれて 徐々に圧迫力が減少するように作られることにより体液の下から中枢へ流れを促します。安静時に手や足にかかる 圧カ=静止圧と、運動時に筋肉が膨らむ事で生まれる圧カ=動作圧があります。この運動時に得られる圧迫の効果を筋ポンプ作用 といい、効果的に筋ポンプ作用を得るために、伸び縮みし難い、硬めの素材が使用されています。

 

医療用弾性着衣は医療器具として届出された製品で医師の指示のもと、治療や維持目的で使用されます。医師の指示のもと書類を揃えて加入保険先に申請することにより療養費支給対象となっています。

申請時に必要な書類や手順については医療保険加入先により異なるため必ず加入先に確認を行い、主治医に相談し医師による装着指示書を入手してから購入をしましょう。

 

・スキンケア

むくみの生じた皮膚は薄くなり硬さが増し乾燥しやすくなってきます。そのことにより細菌感染もしやすい状態となってしまうため、清潔と保湿を心掛けたスキンケアを行います。

・体重管理と運動

体重増加や肥満はリンパ浮腫のリスクとなっています。弾性着衣を使用したうえで体を動かし体重管理を行いましょう。

 

 

以上です。弾性着衣についてよくある質問はまた別途ご紹介させていただきます。

日常からご自身の状態を観察し、運動・体重管理を心がけ むくみが疑われる場合は主治医に早めに相談をし、早期治療につなげましょう。