乳がん検診での超音波検査(エコー)とマンモグラフィの違いについて
2024.01.22
~乳がん検診での超音波検査とマンモラフィ検査について~
マンモグラフィと超音波検査とは
当院では横浜市乳がん検診・自費乳がん検診を行っています。
診療の中でよく、超音波検査とマンモグラフィ検査の違いやどちらを選べばよいかという質問を受けることがあります。
簡単に説明すると
マンモグラフィとは乳房を引き延ばして挟んでレントゲンを撮る検査で 超音波検査とはゼリーを塗って検査者が装置を当てながら中を見ていく検査です。これらの検査をつかって乳がんの特徴であるカルシウムの沈着(石灰化といいます)、構造の乱れ、腫瘤(しこり)を検出していきます。
〇超音波検査の特徴
・長所
①しこりの描出に優れている (触診でわからないような小さなしこりも見える)
②被曝をしない
③痛みがない
・短所
①石灰化の描出はマンモグラフィよりも劣る
②構造の乱れの描出はマンモグラフィよりも劣る
〇マンモグラフィの特徴
・長所
①石灰化(良性のものや乳がんから分泌される成分)の検出に優れている
②乳腺の構造の乱れの検出に優れている
・短所
①被曝をする(微量ではありますが被曝しないに越したことはないです)
②痛い
②若い方や日本人では正常乳腺と重なってしまい(高濃度乳腺)病変が写りづらく精度が落ちることがある。
③しこりの描出は超音波より劣る
つまりしこりがある乳がんの場合、超音波検査の方が検出しやすく、石灰化を分泌したり構造を乱すタイプの乳がんの場合、マンモグラフィ検査のほうが検出に優れています。
診療の中でも、病変がどちらか片方の検査にのみ写り、もう一つの検査には写らないという事が多々あります。
精度を高めるのであれば両方の検査を行えば良く、マンモグラフィ単独より超音波検査と併用した方が乳がんの発見率が1.5倍になるという報告があります。
しかし、検診で全員のかたに両方の検査をおすすめするかといえばそうではなく、やはり小さくても被曝があるため被曝を考慮する必要があります。
症状のない人が受ける検診である以上、被曝のデメリットを超えるメリットがある必要があるからです。
症状のない方の検診の検査の選び方
・34歳以下の方には超音波検査
・35歳以上の方にはマンモグラフィ検査と超音波検査
これらの検査機器の特徴と乳がんの発生する確率と被曝のデメリットを考えると34歳以下の方の場合、超音波検査のみの検診をおすすめします。乳がんの発生する確率は35歳くらいから上がってくるため35歳以上の方ではマンモグラフィ検査を併用するメリットが考えられます。
ただし、35歳以上のかたでも以下のような方にはマンモグラフィを受けることができません。
〇年齢にかかわらず検診マンモグラフィを受けることのできない方
・妊娠中あるいは妊娠の可能性のある方
・バッグ挿入による豊胸術の既往のある方
・医療機器が乳房の近くにある方(ペースメーカー、埋め込み型除細動器、CVポート、シャント)
御家族に乳がんがいらっしゃる方や、どの検査を受ければいいか迷うときは、乳腺外科医師にご相談下さい。最適な検査方法をご提案させていただきます。
また、当院では婦人科医による子宮癌検診を同時に受診いただくことが可能です。あわせてご相談下さい。